〜 第11弾 〜  ロケットボーイズ
 ホーマー・ヒッカム・ジュニア著 草思社

屋久島タイガーでも時折お隣の種子島から打ち上げられるロケットの話題を紹介しております。
2007年10月4日は、旧ソビエトが人工衛星スプートニクの打ち上げに成功して50周年だったそうです。
かつて国家の威信をかけた宇宙進出プロジェクトも昨今はようやく民間の参入という、身近?なレベルまでに近づいてきた....なんて呑気な日本のマスコミ論調をあざ笑うかのごとく、自由の国アメリカではアマチュアのホビーロケットマニアが多数おり、毎年数ヶ所でコンテストが行われていたりするんですねぇ。
かつての名機を数分の一に縮小したモデル(それでも高さが10メートル程あったりする)やスターウォーズのXウィングファイターの半分サイズが轟音と共に打ち上がって行く姿は、壮観そのものです。
出場者達は業界関係者のプライベート参加や全くの独学でロケット技術を学んだ人などマニアックにホビーに取り組んでいるひとまで様々ですが、そのレベルの高さには驚かされます。

さて、50年前、スプートニクの打ち上げ成功当時、東西冷戦の中でアメリカ国内では、驚異と捉えあたふたする大人たちの中で、その出来事に純粋にインスパイアされ、それを夢として取り組んだ少年達の物語を紹介しましょう。

ロケットボーイズ ホーマー・ヒッカム・ジュニア著 草思社刊

1957年当時のウエストバージニア州コールウッドという炭坑の町、石炭と地元高校のアメリカンフットボールだけが楽しみの町。そこで生まれ育った筆者の高校時代の青春物語。実話とありますが、著者はNASAのエンジニアとしてのキャリアを終え、40年前の出来事を思い出しながらの執筆であり、実話に基づいた追憶の小説とも呼べるよくできたストーリーです。
フットボールの花形選手の兄の下、近視でスポーツも勉強も苦手な筆者は炭坑技術者の父親に兄と比較され冷たく扱われている事に傷ついていました。
アメリカ中に衝撃として受け止められたスプートニクのニュース。
父親が購読するNewsweekの特集記事を読みあさり、自分でロケットを打ち上げると心に誓います。学校のちょっと変わった仲間達とチームを組み第一号の打ち上げ実験で母親の大切にしているバラの柵を吹き飛ばしてしまいます。
噂は小さな町にたちどころに広まり、待ち行く人々にあざ笑われ....。
唯一味方である母親に励まされ、やがて町の人たちが一人、また一人と協力者となり、すばらしい科学の教師と出会い、友情...。一方、頑固でしっくり行かない父親との対峙。失恋。炭坑という斜陽産業の行く末に町の様子も変わり果て...。胸が苦しくなるような田舎の小さな町の流れの中で、しっくり行かない家族や町の人々の暖かさに包まれながら成長してゆくという、とてもハートウォーミングな青春物語です。

最近、本を読む際に、舞台となる場所が実在する場合にはGoogle Earthを使ってその土地の衛星写真を眺めたりしながら読み進む楽しみがあるのですが、上巻で美しい情景の表現部分を読み、期待しながらコールウッドの町を探したんですがどうしてもその地名が見つからず、かろうじて著者の通っていた高校で舞台となった-Big Creek Highschoolを見つける事ができました。登場する町名や道筋をあれこれ想像しながら探しても見つからず、もしかすると架空の町名かな?と思いつつ読み進んで行くうちに見つからない理由が分かった次第です。

下巻の終わりの方で日本人宇宙飛行士の土井隆雄さんとの交流も書かれ、宇宙にあこがれ、夢を持ち続ける事の難しさと素晴らしさが土井さんの後書きとして寄せられています。
青年向けにジャンルされるコーナーにありますが、中高年の私も十分過ぎるくらい泣けました。

by Ryutaro

 

 

 

 

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